ひとひろ

日常より、もう少し深いところへ。ひびのこと、たびのこと、ならのことを綴ります。

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【きせつのええこと】線香花火で夏を弔う 【夏・筒井時正の花火】

ある日、私の手元に荷物が届きました。
注文した覚えのない何か。
送り状の備考欄には……「花火」?
箱を開けたら、桐の箱に入った花火が、ありました。

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筒井時正の線香花火/夏の終わり

ミニマルな私への素敵な贈り物

送り主は、昔からの友人でした。
私がミニマルにシンプルにと言っているからか、こんな粋なチョイスをしてくれたようです。

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箱を開けたら、なんと、こんなに可愛い!
思わずわあっと声をあげて喜びました!
花火なんて、最後にやったのは何年前でしょうか。
ちょうど夏は忙しくしていて、花火どころではなかったので、胸が高鳴ります。

tsutsuitokimasa.jp

ファミリーパックでなくて、本物の花火。
こんなに素敵なものを作っているところがあるんですね。

去りゆく夏に手向けの花を

桐の箱を再び開けたのは、9月の最後の日でした。
奈良の夜はしんと寒く、もう夏の気配はあまり残っていません。

箱の中から、名残のような夏がはらはらと。
お花もちゃんと花火になっているようです。

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ぱちぱち、と燃えて。
しばらくまんじりと待っていると、まあるい珠が。
「蕾」が生まれました。

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「あ、見て!」
ぱちぱちと音をたてて爆ぜる、小さな命。
「牡丹」の鮮やかさが、夜に映えます。

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そして、火花がどんどん飛び出して。
「松葉」のように、次なるステージへ。
最後は「散り菊」として、ゆっくりと、花火は命を終えます。
ほたり、と珠が地に落ちたときに、夏の終わりが胸に迫りました。

大人の花火、夏の終わり

バケツが燃え殻でいっぱいになるくらい花火をした小学生の夏休み。
クラスメイトと近所の公園で宙に軌跡を描いた、中学生の夏。
高校生になってからも、花火ってしてたっけ?
忘れてしまっていた、想い出があります。

大人になってからやる花火は格別で。
忙しく過ぎていった夏。
でも、もう二度と戻ってこない夏。
一生のうちの、きっとかけがえのない時間を、そっと弔いました。

素敵な贈り物をくれてありがとう!
まだ残っているので、次にまみえるときが、楽しみです。
あなたもちょっと特別な体験、してみませんか?
読んでいただき、ありがとうございました。

ゆのじ

お題「プレゼント」