カメラを買った。
新しくて、ちょっとお値段も高くて、綺麗な写真が撮れるやつだ。
私は嬉しがりで単純だから、さっそく新しいカメラをあちこちに連れていっている。
気が付けばブログをはじめて、四年が経っていた。
社会人になってくさくさした気持ちを、整理するために始めたブログが、ここまで消えずに残っていることには驚く。
ブログを生活の片隅に置いて暮らしていたら、いつの間にか奈良県民になっていたことにも驚く。
雑記ブログが奈良ブログに変わる。
奈良県民になってからはどんどん楽しいことが舞い込んできて。
全部に全力で向き合っていたら、なんだかよく分からなくなってきた。
奈良のことが好きで、奈良のことを伝えていたくて。
聞いて聞いて！ってブログを書いていた。
今も気持ちはそこにある。
でも書けない日だって、もちろんある。
このブログの需要が迷子って、いつだって思っている。
「ひとひろ」である意味がよく分からなくなることが増えた。
この春はそんな悩みと、その他の悩みで頭がパンクしていた。
最近になってちょっぴり分かってきた。
私が「発信しなくちゃ」と思って、思い悩んで自滅することこそ意味がない。
だからちょっと距離を置いてみた。ここ数年で何回目だろう。
＊＊＊
そんな折に、カメラを買った。
もともと持っていたデジタルカメラも、かなり悩んで買ったものだからとても気に入っている。
奈良の、たくさんの素敵な場所を切り取って、想い出として残してくれた。
新しいカメラが欲しくなったのも、やっぱり奈良が撮りたかったから。
季節ごとに、いや時間ごとに姿を変え、ひとときも同じ色を残さない風景たちを残していきたかったから。
ボケの綺麗な写真を撮って、にやにやしたかったのも、もちろんある。
でも、これだけ様々な場所を歩いているのだから、新しい相棒を連れて奈良を残してみたかった。
買ってみて分かったことがある。
私は散歩が好きなのだが、新しいカメラがさらに散歩への意欲をかきたててくれるのだ。
ひとりでふらりと奈良を歩いてみると、答えのない考え事も不思議と頭で形ができてくる。
ついでに歩きながらシャッターをどんどん切るから、アウトプットもできる。
頭の中が常時フル回転の私にとって、アウトプットの瞬間は思考が止まる。
思考と、思考停止と。
カメラを持っての散歩は、いいバランスを作ってくれる。
撮れた写真を見て、また思う。
ああ、奈良はなんて美しいんだろう。
好きになってよかったなあ。
馬鹿だなって笑うひともいるかもしれない。
自分には分からないと思うひともいるだろう。
悩んでつまづいて転んで、なんでこんなことばっかり、っていつも考えている。
今だって明日以上のことを考えるのが苦手だ。
かっこ悪いし、みっともないけど、でもやっぱり奈良が好きなので。
あがきながら、毎日を生きようと思う。
とりあえずは、ファインダーから新しい奈良を覗けるのを、日々の楽しみにしながら。
ゆのじ
