ひとひろ

日常より、もう少し深いところへ。ひびのこと、たびのこと、ならのことを綴ります。

ひとひろ

*頑張って生きたからジュエリーを買った

ジュエリーを買った。
三十歳になるまで頑張って生きた証だ。

なにか記念品が欲しくて、ずっと悩んでいて、ようやくお迎えすることができた。
ジュエリーじゃないけどPEUGEOTをピジョットと読んでしまったことがあるくらいには、ブランドに疎い私。 雑誌を読んだりネットの海をさまよったりして、知識をすこしずつ仕入れていった。BOUCHERONとかCHAUMETとか、最近やっと読めるようになったよ。
ハイブランドのジュエリー、いつかは手にしてみたいと目星をつけてみるものの、田舎者の小心者には近付くこともできず。
もう無理に買わなくてもいいかな〜と思っていた。
弱音ばかり吐いている割に、そんなに厳しい日々を送っているわけでもなし。ご褒美をもらうに値するのか? なんてぐるぐる。

そんな迷える三十歳、ある日さくっとジュエリーを買いました。いや今までの逡巡なんやねん。

前置きが長い。 ので、まあ、まずは見てほしいのです。

毎日使えるようなシンプルなデザインを考えていたのだけれど、色石の魅力には抗えなかったのだ……

大好きな桜花さんのブログで知った、tatsuo nagahata(タツオナガハタ)さんのジュエリー。
(きっかけをくださり、本当にありがとうございます!)

桜花さんのオーダー会などのブログを読んで、すっごく好き!と思って以来、Instagramで新作をちまちまとチェックしていた。
でもなんだかぴんとこず、いつかオーダー会や実際に見られる機会があったら行こうと思って月日が経ち。
「いつか」は突然やってきた。
九月上旬、阪急梅田店のhpfranceでセミオーダー会をやるとの知らせが、突然Instagramで告知される。行ける。すごくどきどきした。
予約制ではなかったので、初日の仕事終わりに足を運んだ。平日の夕方だったので人も多くなく、初日だからルースもたくさんあって、結果的にはこれが大正解だったんだろな。

百貨店に入るだけでおどおどしつつ、勇気を出して、オーダーをしたい旨を伝えた。
タツオナガハタさんのセミオーダー会は、ルースを選んで、指輪のデザインを何種類かから選ぶ方式。だからまずは石を選ぶところからはじまる。
店員さんはにっこり笑って、三百近く集められたルースたちを私の前に積み上げてくれた。こ、この中から選べるのか……?
写真を撮る余裕がゼロだったので、文字だけでお伝えするよ。

勝手も分からず、とにかく夢中で好みの石を選り分けてゆく。

  • カボションカットのオパール
  • バイカラートルマリン

昔から好きなふたつの石をひそかな本命に思っていたので、ひたすらそれらしいルースを選り分けた。
「キープが多いですねぇ」と店員さんはにこにこ笑って見守ってくれている。確かに、作れるのは一、二本程度なのに、私の前には宝石の輝くケースが山のように積まれていた。宝の山とはまさにこのこと。
これではいかんと心機一転、心を鬼にしてルースをもりもり選り分けてゆく。
店員さんは次々に奥からケースを出してくる。オーダー会ってこんなに体育会系なの?

正直ぱっと見ただけでは石の種類は判別できておらず、オパールからムーンストーンからサファイアまで、混ざりまくった山を作っていた。
そこから、最後の決断へ。
途中から、二本作る覚悟はできていた。

バイカラートルマリンは、三つのルースから好みのものを選ぶ。キュービィロップだっけ? 子どもの頃好きだった飴ちゃんに似た子を選んだ。
さて、カボションカットの淡い色の石。
オパールの遊色にめろめろ。ムーンストーンは別の指輪があるので外すかな、とオパールを選びかけた。

そこに現れる伏兵、スターサファイア。
つるっとしているものを選んだ中に入っていて、これがまたとっても可愛い。
百貨店の照明の下で輝いて、星を浮かべている。これだ、と思った。
「タツオさんにお願いするんだったら、私もスターサファイアを選びますね」と店員さんにも背中を押してもらう。
リングのアームのデザインに、ダイヤの星を散りばめたものがあり、それと合わせたら絶対に最強に可愛いお守りリングができると確信した。

予約票を握って、お店をあとにする。
思ったよりも時間は経っていなかった。
優柔不断な私にしては、恐ろしく早い決断だった。
ものすごい高揚感が胸に押し寄せてきて、マスクの下でにこにこ笑ってしまう。
それからしばらくは、怒りや悲しみに溺れそうになっても「いや指輪を受け取るまでは」と唱えて、気持ちを落ち着けることができた。

四、五ヶ月かかると聞いていたので、三十一歳の誕生日プレゼントになるかしらと気長に構えていたら、クリスマスよりも前に完成の連絡が来た。
どきどきしながら引き取りにゆき、現物に対面したら、イメージ通りの指輪が私を待っていた。なんてかわいいんだ!!

引っ掛けちゃうので横置きかつダイヤを散りばめてもらったんだけど、最高だね?!

ラベンダーからグレーのなんともいえない色味にめろめろ。

お店の人にマクロレンズで撮ってもらった画像をいただいた。美!

は〜〜しあわせ。

お守りのようにつけたい指輪と、おめかししたいときにつける指輪と。
三十年、それなりに頑張って生きて、こんな素敵なものを手に入れられた。
大事にしよう。似合うようないかしたやつになるぞ〜!

うめはんのクリスマス、アリスで可愛かったな。
この冬の高揚感、忘れたくないな。