ひとひろ

日常より、もう少し深いところへ。ひびのこと、たびのこと、ならのことを綴ります。

ひとひろ

晴れ女の梅雨の旅 vol.2

母と箱根旅行を満喫し、小田原駅で解散。
箱根の宿で「おさるのかごや」という曲を知っているか論争をさんざん交わしたのだが、小田原駅の発車メロディーがまさかのそれで笑ってしまった。
母よごめん、「小田原提灯」と歌うそのフレーズを私は知らない。

二日目 横浜 くもり

▼ 前回のお話はこちら ▼ www.hito-hiro.com

ぼんやり電車に揺られているうちに、横浜へ到着。
まともに降り立つのははじめてな気がする。
夕方のラッシュアワー、それなりの人通りにもまれながら桜木町へ向かう。
最近はずっと時差通勤でラッシュから逃げているので、すこし人酔い。

二日目のお宿はこちらの、ホテルエディット横濱
実はここを選んだから横浜を旅の中継点に選んだ。

どん。書店の有隣堂とコラボした、選書プランで宿泊したかったのだ。
宿泊予約時に、気になるジャンルや好きな作家を伝えて本を五冊選んでもらうという楽しすぎるプラン。
チェックイン時にずっしりと重いトートバッグを手渡され、胸の高まりが抑えられなかった。

コンパクトにまとめられた空間はゆっくりこもるのに居心地がよさそう。

自分好みのバスソルトを作れるサービスがあったので、旅の疲れをほぐす用に作ってみた。アロマの良い香りに心がほっとする。
重たい荷物を下ろしてひと息。そうだ、どんな本を選んでもらったのか早く見たいんだった。

今回選んでいただいたのはこの五冊。
好きな作家を伝える際に、どうしようか悩んだのだけれど、まっすぐ自分が好きな作家を二名挙げた。
その二人には共通項もないし、私に合う本を選ぶのは難しいかなと思ったのだけれど……
でもせっかくの機会だから本気で行こう(?)と思って素直に書いた。

選んでくれた方のコメントもついているのがよい。
お好きな作家とまったく同じ路線というわけではないですが、と断りながら選んでくれたのが津村記久子さんですっごく嬉しかった。
次点で挙げるくらいには好きな作家さんだし、『君は永遠にそいつらより若い』は既読だけれど内容がおぼろげなので、買いなおしたいとちょうど思っていたところだったのだ。
気になるジャンルに沿うものを選んでもらったため(反対もできる)他の本も気になるものがたくさん。
早く落ち着いて本を開きたいところだが、私にはまだ行くところがある。
軽装になり、再び宵闇近づく横浜へと繰り出した。

二日目 妙蓮寺 くもり

横浜から東急電鉄の各駅停車に揺られて、たどり着いたのは妙蓮寺駅。
帰宅途中の人たちが行き交う、生活のにおいがする街だ。
踏切のある風景とか、駅前の商店街を見て、奈良の大和郡山を思い出してふっと懐かしくなった。
あ、このまち、とても好き。
そんな感覚に突き動かされながら歩いてゆく。
大和郡山にはとほんという素敵な本屋さんがあるが、この街にも生活綴方というこれまたよい本屋さんがある。
二日目のひとり旅は本の旅にすると決めていたので、閉店時間に間に合ってよかった。

hachi-log.hateblo.jp

大好きなはちさんのブログで街の風景を予習していたから、行こうと、行けると思えた。ありがとうございます!
そもそもここに行くきっかけとなったZINEもはちさんがあげていたのが気になったからだという。
好きなブログの聖地巡礼をするのが好き。

店内を眺めて、気になる本をいくつか買う。
こういう本屋さんではZINEを優先的に買いたいと思っているので、お気に入りの安達茉莉子さんのものと、生活綴方さんが出されているものを選んだ。本当はもっとたくさん気になる本があったけれど、旅なのですこし我慢。
会計のときに、提げたX100V(会話が生まれるラッキーアイテム)をきっかけにお店番の方とお話できた。
旅行であること、安逹さんのZINEを読んで来たことを伝えて、横浜のおすすめの場所を教えてもらったり。
こういうコミュニケーションも久しぶりで、なんだかじんときちゃった。

商店街で明日の朝のパンを調達し、夕食はどうしようかなあとふらふら駅に向かう。
ふと、駅前の「手造りおでん種のお店」と書かれた小さなお店に目が留まった。
おでん種のお店ってなに?と思ったら、いわゆる練りもんを売っているお店らしい。
達筆な筆文字で八州屋と掲げられた店先には、よい香りを漂わせるおでん鍋が置かれていた。
え。ここで、おでん? おでん買っちゃう?
結構おでん好きの私、しばし自問自答。いやディープすぎやしないか。
数秒悩んで足を迷わせて、結局「すみません、おでんください」とおばあちゃんに声をかけた。
迷ったら面白い方を選べ! だ。
大根と、こんにゃくと……選んだらおばあちゃんはポリ袋に具をぽいぽい入れて、お出汁をたっぷり入れて、口をぎゅっと縛ってくれた。
コンビニおでんの形式に慣れすぎている私、内心動揺。
そこからさらにレジ袋に入れてくれたのだけれど、それがちゃんとバイオマス配合でレトロさと現代に適応している感じにぐるぐるした。
「はい、175円ね~」
驚愕プライス。なんでもない感じで会計を終えたけれど、ずっと心臓が鳴っていた。
お出汁たっぷり、あたたかい袋を手にして駅で思わず笑っちゃった。なんだってできるな、自分。

横浜では、もうひとつやりたいことがあった。
……崎陽軒のシウマイを食べてみたかったのだ。
横浜駅近辺の店舗を調べたら、出るわ出るわ。551感覚というかそれよりも多いと思う。
旅はいつも行き当たりばったりだが、どのシウマイを買ったらひょうちゃんを手に入れられるかだけは事前にしっかりと調べてきた。
特選シウマイ六個入りを無事に入手し、宿へと戻る。

箱根よりは気温も高く、湿度も高めのぬるい夜。
水面にじわりと溶ける光が綺麗だった。

おなかが空いていたので写真を撮る前に海老天をかじってしまった。
全部おいしく、大満足の横浜の夕食。
お風呂にゆっくりつかって、本を読んでから眠った。

三日目の集合時間を遅めにしてもらったので、翌日も朝から本を読んでごろごろした。
まだ旅程が半分残っていることに喜びながら、横浜から東京を目指す。

東京編へ続く。